正直、僕は“流行りの音楽”というものに疎いです。
もちろん全く聴かないというわけではないですし、米津玄師とかめちゃくちゃかっこいいと思うのですが、ともかく単純に好きじゃないから。
別に流行りものが嫌いなんてこともないのですが、ただ感性がついていけてないのかもしれません。
いよいよ若者と呼べる年齢でもなくなってきたのか、と少し危機感を覚えます。
しかしそんな不安なんて知ったこっちゃないと言わんばかりに去年から聴き込んでいるバンドが「鶴」。
はっきり言って流行りの音楽とは真逆を行く彼らですが、そんなところが良くも悪くもこのバンドの個性でしょう。
結局こういう泥臭いバンドが好き
「鶴」というただ一文字。
潔さとインパクトを感じるバンド名ですが、メンバー全員が通っていた埼玉県の鶴ヶ島市立西中学校に由来するそうです。
そしてあくまで僕の印象ですが、このバンドを一言で表すと「泥臭い」。
最近の邦ロックはポップス・ヒップホップ・EDMなど様々な要素をどんどん取り入れ限りなく多様化している傾向にあるのに対して、鶴はとにかくキャッチーでわかりやすいです。
有名どころでいうとウルフルズやエレファントカシマシなんかが近いと思いますが、20代後半以上の人はこれくらいの方がしっくりくるのではないでしょうか?
ちなみにメジャーデビューが2008年なので2019年現在で12年目。
正直に言って有名バンドとは言えませんし、彼らの音楽が現代の若年層に受けるとは思えませんが、このままのスタイルを貫いてほしい。切実に。
今まで知らなかったというだけで、聴いたら気に入る人めちゃくちゃいると思います。
ソウルメイト今夜
聴いて楽しい、弾いて楽しい、とにかく楽しい、それが「ソウルメイト今夜」。
鶴のファンは「ソウルメイト」と呼ばれているのですが、タイトル通り、そんなソウルメイトたちに向けて作られた曲ですね。
楽器をしている人ならわかると思いますが、この曲はセブンスコードばかり。
彼ららしい泥臭さと小洒落たメロディがこれ以上ないほど両立している曲調です。
ギター・ベース・ドラム、全てかっこいいのですが、何より「ソウルメイト今夜は(ソウルメイト今夜は)」というフレーズが楽しすぎる…。
ライブなんかでは絶対盛り上がると思いますが、僕が2018年に最も聴いた曲が多分これです。
夜を越えて
恐らく鶴の中で一番有名な曲がこの「夜を越えて」。
2012年に発表された曲ですが、この頃はメンバー全員がアフロ・眼鏡・柄シャツ・ブーツカットパンツというかなりパンチの効いたビジュアルをしていました。
松田翔太さんが主演を務めた映画「アフロ田中」の主題歌として起用されたのですが、まさにぴったりだったと言えるでしょう。
聴く人を励ますようなストレートな歌詞とシンプルな構成。
たまにこんな曲を聴くと「ああ、ロックバンドってこういうことだわ…」と安心します。
歩く this way
2018年8月に発表された最新曲の「歩く this way」。
Wikipediaによるとベースの神田雄一郎さんは影響を受けたバンドの一つにかのAerosmithを挙げていますが、曲名といいフレーズといい、確実に「Walk This Way」にインスパイアされているでしょう。
「踊る!さんま御殿」のエンディング曲になっているあれです。
ワクワクもするけれど、どこか懐かしい雰囲気。
メジャーデビュー10周年を迎えた鶴がこれまでを振り返り、これからへの思いを込めた曲なのかな、と勝手に想像しています。
ミュージックビデオでは彼らの地元の埼玉県鶴ヶ西市の各名所が映し出されていますが、監督を務めたのは増山準哉さん。
鶴の音楽性の基盤になっているTHE YELLOW MONKEYの「砂の塔」も手がけた方です。エモい。
ローリングストーン
それまでの集大成として2016年に発売されたアルバム「ソウルのゆくえ」から「ローリングストーン」。
このあたりから彼らの音楽性が徐々に今の雰囲気にシフトしてきているのかな、という印象を受けます。
しかし彼ららしさは健在で、変化というよりは進化。
3ピースのシンプルな構成でここまでの厚みを出すのはさすがだなと思います。
低音をブーストしたミックスとコーラスの効果が大きいのではないでしょうか?
ちなみに「ローリングストーン」というタイトルがついた曲は数多いですが、この曲を含めハズレがないですよね。
少なくとも各アーティストがThe Rolling Stonesを意識していないはずがありませんが、ある種神格化されているワードだと思います。
ハイウェイマイウェイ
こちらも結構有名曲である「ハイウェイマイウェイ」。
ところどころで名前が挙がっているのを見かけますが、2010年にキングオブコントのCM曲に起用されていたようです。
ちなみに2009年には同じく鶴の「その一歩」が起用されていました。
コードもシンプルで耳に残りやすいフレーズが特徴ですが、何度も言った通り、このわかりやすさが鶴の魅力だと思います。
小手先で勝負しようとする若手バンドとは深みが違います。
また鶴の曲を弾いていて毎回感じるのですが、別段テクニカルなフレーズがないにも関わらずすごく楽しい。
癖になると言った方が適切かもしれません。
おすすめのアルバム

最後の鶴のおすすめのアルバムを紹介しようと思いますが、個人的にまずきいてほしいのは2013年に発売された「SOULMATE」。
正直鶴のアルバムはどれも彼らの良さが出ていてハズレがないと思いますが、強いて挙げるならこれかな、と。
収録されているのは今回紹介した「ソウルメイト今夜」を始め、他にも彼ららしいまっすぐな曲ばかり。
鶴の魅力を特に感じられるアルバムだと思うので、動画を見て興味を持った人はぜひ聴いてみてください。