バーテンダーのアルバイトをして学んだことを正直に話します

僕は2018年3月に大学を卒業したのですが、そこから9月までバーテンダーのアルバイトをしていました。

といってもアフィリエイトというネットビジネスを本業としているのであくまで副業としてだったのですが、フリーランスで時間に融通を効かせられるということもあり、以前から興味があったバーテンダーになってみたという経緯です。

約半年間という決して長くない期間でしたし、バーテンダーとして一人前の知識や技術を身につけられたとはとても言えませんが、それでも僕の人生観を変えるには十分な環境でした。

今でもそのバーには客として週1,2回ほど足を運んでいますが、僕がバーという空間、そしてバーテンダーという職業のどのような部分に魅力を感じたのか、また自分が実際にバーテンダーになって何を学んだのかというところを話していこうと思います。




名古屋屈指の老舗バーだった

冒頭でも言った通り、僕は2018年3月から9月まで、約半年間に渡ってバーテンダーのアルバイトをしていました。

理由は非常にシンプルで、ただお酒が好きで興味があったから。

フリーランスで時間はいくらでも合わせられたので、昼は本業のアフィリエイト、夜はバーでアルバイト、という生活をしばらく続けていました。

しかしいざ働き始めて驚いたことは、そのバーが名古屋屈指の老舗バーだったことです。

名古屋の同業者だと知らない人はいないほどの人気店だそうで、「ちょっと酒が好きなだけの学生上がりが働いていいのか?」と思わせるくらいのお店でした。

ちなみにバーといっても店によってコンセプトは全く違い、誰でも気軽に入れるカジュアルなバーもあれば、しっかりとした知識と技術があるバーテンダーが立つオーセンティックバーまで様々。

僕が勤めていたバーは完全に後者です。

一応僕も学生時代に普通の飲食店でアルバイトをしたこともありますし、接客自体は結構好きだったのですが、慣れないうちは本当に何もできませんでした。

上司や先輩たちがせわしなく動いているにも関わらず、自分は突っ立っていることしかできないというもどかしい思いをしてばかりでしたね。

お酒も詳しくないですし、足を引っ張ってばかり…。

正直最初の1ヶ月は続けていく自信が全くありませんでした。

しかし厳しかった分、今となっては本当に良い経験になったなと思います。

本業の方が忙しくなってきたので半年で辞めることになってしまいましたが、勤めていた間、自分でも驚くくらい色々なことを学び、あらゆる面において成長できたと実感しています。

これまで経験してきたどのアルバイトよりも有意義な経験となったわけですが、具体的にどのようなことが学べたのか。

自分なりに印象的だったことをまとめていきます。

お酒に詳しくなる

バーテンダーになりたい人は誰もがお酒のことをもっと知りたいという思いを持っているのだと思いますが、やはりそこは間違いなく詳しくなります。

僕はもともとちょっとお酒が好きなだけで銘柄などは全くわからなかったですし、ウイスキーなんてCMでやっているものくらいしか知りませんでした。ジムビームとか。

それにたった半年しか勤めていなかったわけですが、その間だけでもだいぶ覚えましたね。

大げさでなく平均的な同年代の100倍の知識はあるんじゃないかと思います。

ビアバーやワインバーならまた別ですが、僕が勤めていたところは王道にウイスキーを売りにしていたのでとりあえずメジャーなウイスキー、そしてリキュールやカクテルについては結構詳しくなれたと思います。

もちろん素人にしては、というレベルですが。

本当にプロを目指すならそのお酒の起源や蒸留所、販売元ぐらいは網羅できていないとダメなのだと思いますが、さすがにその域にまでは辿り着けず…。

正直短期間でどこまで知識を詰め込むことができるからは本人次第なのですが、少なくともある程度やる気を持って勤めていれば、ちょっと人に自慢できるくらいの知識はすぐ身につくと思います。

お酒が作れるようになる

知識に伴い培われるのはやはり技術。

自分でお酒を作れるようになれたというところもバーテンダーになって良かったと思える点です。

ただ一般的にバーテンダーとなるとシェイカーをシャカシャカ振ってカクテルを作っているイメージが強いと思いますが、まずそれを練習させてもらえるようになるまでが長いんですよね…。

何から練習させてもらえるのかはお店の方針によっても異なると思いますが、うちの場合はまず基本的なバー用品の扱い、そしてハイボールの作り方でした。

ここで正しいハイボールの作り方を詳しく説明しても仕方ないので省略しますが、ただグラスにウイスキーとソーダを注ぐだけと侮るなかれ。

たった一杯のおいしいハイボールを作れるようになるまでもかなりの練習が必要になります。

閉店後、日が昇るくらいの時間になるまでスタッフみんなで練習会をしていたのは良い思い出です。

そうしてゆくゆくはシェイクのやり方も教わるわけですが、あれもまた難しい…。

プロのバーテンダーは何気ない澄まし顔でシェイカーを振っていると思いますが、実際にお客様に提供できるようになるまでにはこれまた相当の修行を積んでいると思います。

何はともあれ僕の場合は少しシェイクをかじったところでバーを辞めてしまったのですが、いまだに家ではよく練習しています。

主要なバー用品と各種グラスは一通り揃え、ほぼ毎日お酒を作っているのですが、アマチュアの趣味レベルでもやっぱり楽しいんですよね。

自分でおいしいカクテルを開発した時なんかはテンション上がりまくりです。

また僕はシェアハウスに住んでいて、他の住人にはよく練習台になってもらっています。

仕事から帰ってきた時なんかに一杯振る舞うととても喜んでくれますし、やはり誰かのために作るとより一層やりがいを感じますね。たまに失敗しますが(笑)

礼儀作法が身につく

これも見出し通りですが、礼儀作法が身につく。

僕が一人の人間として最も良い影響を受けたのはこの部分に他なりません。

冒頭でも言った通り、僕は大学を卒業してすぐ独立しました。

それ自体は全く後悔していないものの、少し気がかりだったのが社会経験を積むことができないということです。

両親もそのことを気にかけていたのですが、バーに勤めていたことでそれ以上のことを学ぶことができたと思います。

本格的なオーセンティックバーだったからということもありますが、勤め始めて他のスタッフのプロ意識の高さに驚きました。

言ってしまえば店長以外の先輩たちは同じアルバイトだったわけですが、ただの学生上がりで所詮バイト気分の僕と彼らとのギャップは明確でした。

良い意味でバーテンダーはそれだけ敷居が高い職業なのだと肌で感じましたし、また老舗バーなだけあって客層もそこら辺の居酒屋とは大違い。

当たり前ですけどね。

平均年齢は40〜60代くらいでご年配の方が中心でしたし、いやらしい言い方をすればお金持ちのお客様も数えきれないくらいいらっしゃっていました。

なので僕もその場に相応しいスタッフにならなければと思い、勤務態度だけでなく、私生活にも多大なる影響を受けたと思います。

わかりやすいところを挙げると服装も学生の頃に比べれてきれいめのものが増えましたし、普通の企業に就職するよりもよっぽど社会勉強になったのではないでしょうか。

それに僕の場合は面倒を見てくれた店長が本当に良い人で、僕のような青二才にも真摯に指導してくれました。

普段は気さくに冗談を言い合ったりしますが、叱る時はちゃんと叱ってくれる。

仮に僕が今「あなたにとっての恩師は誰ですか?」という質問をされれば、間違いなく店長だと答えます。

バーテンダーになるのもいいなと思えた

辞めてしまった今こんなことを言うのもなんですが、バーテンダーになるのもいいなと本気で思えました。

もし今の仕事をしていなかった時、何の仕事をしたいかと考えれば間違いなくバーテンダーは筆頭候補です。

Wikipediaによるとバーテンダーという言葉の語源はbar(酒場)とtender(世話をする人)の合成語だそうですが、それはお酒に関することだけはありません。

接客や立ち居振る舞い、お店の雰囲気など全て含めてお客様に特別な空間を提供する職業。

実際にバーを訪れてみないと実感することは難しいと思いますが、こんな素晴らしい職業はそうないと思います。

なのでまだオーセンディックバーに行った時がない人はぜひ一度経験してみてください。

他では味わえない、非日常的な時間を過ごすことができると思いますが、一人でも多くの人にバーの魅力を知ってもらえれば幸いです。

それでは今回はこの辺りで。